「NISAの枠、できるだけ埋めた方がいいよね?」
「毎月かなり投資しているのに、なぜか銀行口座のお金が増えない……」
「旅行に行きたいけれど、そのお金をNISAに入れた方がいい気がする」
こんな状態になっていませんか?
こんにちは。
3人の子育てをしながら会社員として働き、副業でWebライター・ブロガーとして活動している、FPのかずーむです。
NISAは、長期的な資産形成を考えるうえで非常に魅力的な制度です。
しかし最近、気になる言葉があります。
それが、
「NISA貧乏」
です。
NISAの残高は増えている。
でも、普通預金は減っている。
旅行や外食を我慢する。
急な出費が怖くなる。
それでも「NISAの枠を埋めなければ」と投資を続ける。
もしこうなっているなら、一度家計を見直した方がいいかもしれません。
なぜなら、
NISAは人生を豊かにするための「手段」であって、NISAの枠を埋めることが「目的」ではないからです。
この記事では、FPの視点から「NISA貧乏」が起きる理由と、子育て世帯が投資しすぎないためのお金の考え方を分かりやすく解説します。
NISA貧乏とは?投資しているのに生活が苦しい状態
「NISA貧乏」は正式な金融用語ではありません。
一般的には、NISAへの投資を優先しすぎた結果、手元の現金が不足したり、日々の生活を過度に切り詰めたりしている状態を表す言葉として使われています。
例えば、給料が入ると真っ先にNISAへ10万円。
ボーナスが入れば追加投資。
さらに「今年の枠が余っているから」と普通預金からも投資する。
証券口座だけを見れば、順調に資産形成しているように見えます。
しかし銀行口座を見ると、
「あれ?使える現金がほとんど残っていない……」
という状態になってしまう。
さらに怖いのは、
「旅行はもったいない」
「外食するくらいなら投資したい」
「子どもの習い事を増やすよりNISA」
と、現在の生活まで過度に削ってしまうことです。
資産は増えているのに、生活は豊かになっていない。
これがNISA貧乏の大きな問題です。
なぜ「NISA貧乏」になってしまうのか?
お金について勉強し、将来を真剣に考えている人ほどNISA貧乏に陥る可能性があります。
その背景には、主に3つの理由があります。
理由1:「年間360万円の枠を使わないともったいない」
NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を合わせて年間最大360万円まで投資できます。
非常に魅力的な制度です。
しかし、ここで勘違いしてはいけません。
360万円は「投資しなければならない金額」ではありません。
あくまで、年間に投資できる上限です。
年間100万円しか投資しなかったからといって、260万円損したわけではありません。
NISAは、
「使える制度」であって「使い切らなければならない制度」ではない。
まずはここを押さえておきましょう。
理由2:SNSで他人の「NISA満額」を見て焦る
SNSを見ていると、
「今年もNISA満額!」
「夫婦で年間720万円!」
「最速で1,800万円埋めます!」
といった投稿を目にすることがあります。
こうした情報を毎日のように見ていると、「自分は投資額が少ないのでは?」と不安になることがあります。
しかし、その人とあなたでは条件が違います。
- 年収
- 家族構成
- 住宅費
- 子どもの人数
- 教育方針
- 保有資産
- 将来必要になるお金
これらが違う以上、適正な投資額も違って当然です。
SNSで比べるべきなのは「投資額」ではなく、考え方です。
他人が年間360万円投資しているからといって、自分も360万円投資する必要はありません。
理由3:「投資額」を先に決めてしまう
これが最も危険だと考えています。
例えば、
「毎月10万円をNISAへ入れる」
と最初に決めてしまう。
すると、
収入-10万円=生活できるお金
になります。
しかし、本来は逆です。
収入-生活費-近い将来必要なお金-生活防衛資金-今を楽しむお金=投資できるお金
という順番で考えます。
「毎月いくら投資したいか」ではありません。
「毎月いくらなら投資しても困らないか」
から考えることが重要です。
NISAより先に確保したい3つのお金
NISAへお金を入れる前に、少なくとも3種類のお金について考えておきましょう。
① 生活防衛資金
まず確保しておきたいのが、突然収入が減った場合でも生活を続けるためのお金です。
会社員であっても、
- 病気
- 休職
- 失業
- 家電の故障
- 冠婚葬祭
- 住宅の修繕
など、突然お金が必要になることがあります。
特に子育て世帯では、想定していなかった出費が発生することも珍しくありません。
必要額に絶対的な正解はありませんが、一般的には生活費の数か月分程度を現金で確保してから投資を考えるのが一つの考え方です。
大切なのは、「投資しているから貯金はいらない」と考えないこと。
投資資産と生活防衛資金では役割が違います。
② 数年以内に使う予定のお金
次に考えたいのが、近い将来使うことが分かっているお金です。
例えば、
- 子どもの進学費用
- 車の購入
- 住宅の修繕
- 引っ越し
- 家電の買い替え
- 家族旅行
こうしたお金まで株式などへ投資すると、必要になったタイミングで相場が下落している可能性があります。
「投資できるお金」と「投資していいお金」は違います。
近い将来使う予定のお金は、投資資金とは分けて管理することが重要です。
③ 忘れてはいけない「今しか使えないお金」
そして、子育て世帯にはもう一つ考えてほしいお金があります。
それが、
「今しか使えないお金」
です。
例えば、
- 子どもが小学生のうちに行く家族旅行
- 親子でキャンプへ行く
- スポーツを一緒に始める
- 子どもが興味を持ったことに挑戦させる
- 家族で海外へ行く
これらには「賞味期限」があります。
老後資金は60歳になってから使えます。
しかし、
10歳の我が子と過ごす夏休みは、今年しかありません。
資産形成では「時間を味方につけよう」とよく言われます。
これは投資だけの話ではありません。
人生にも時間という制約があります。
だからこそ、未来のためのお金だけでなく、「今しかできない経験」に使うお金も確保しておきたいところです。
100万円を「使う」のと「投資する」のはどちらが正解?
ここで一つ考えてみましょう。
40歳のときに100万円を持っていたとします。
仮にこの100万円を年率5%で20年間運用できたとすると、60歳には約265万円になります。
そう考えると、
「今100万円使うのはもったいない」
と思うかもしれません。
では、
60歳の265万円と、子どもが小学生のときの100万円の家族旅行。
どちらに価値があるでしょうか?
もちろん、正解はありません。
老後資金がまったく準備できていないなら、投資を優先する判断もあります。
一方で、十分な資産形成ができているなら、家族との経験に使う選択もあります。
大切なのは、
お金の価値を「将来いくらになるか」だけで判断しすぎないことです。
旅行に使った100万円は、証券口座には残りません。
しかし、
家族で見た景色。
一緒に食べたもの。
子どもが初めて経験したこと。
写真。
そして思い出。
こうしたものが残ります。
それもまた、人生にとって大切な「資産」ではないでしょうか。
NISA貧乏にならないための5つのルール
では、NISAと上手に付き合うためにはどうすればいいのでしょうか。
FPの視点から、5つのルールにまとめます。
ルール1:生活防衛資金をNISAへ入れない
NISAの枠が余っていても、緊急時に必要な現金には手をつけない。
「投資するお金」と「生活を守るお金」を分けます。
ルール2:近いうちに使うお金を投資しない
教育費や住宅関連費用など、数年以内に必要になる可能性が高いお金は別に管理します。
ルール3:「NISA満額」を家計の目標にしない
年間360万円投資できなくても問題ありません。
月1万円でも3万円でも10万円でもいい。
家計を圧迫せず続けられる金額が、自分にとっての適正額です。
ルール4:「今を楽しむお金」を予算に入れる
旅行や外食、趣味、子どもの体験などを「余ったら使うお金」にしないことも一つの方法です。
将来と同じように、現在にも予算を振り分けます。
ルール5:「何のためのNISAか」を決める
「年間360万円の枠があるから投資する」のではなく、
「老後資金として○年後までに○万円準備したい」
というように目的から考えます。
目的が決まれば、必要な投資額も見えやすくなります。
あなたは大丈夫?「NISA貧乏度」をチェック
一度、自分の家計を確認してみましょう。
NISAを始めてから普通預金が減っている
NISA枠を使い切れないと「損した」と感じる
急な10万円の出費があると困る
家族旅行や外食より投資を優先している
SNSで他人の投資額を見ると焦る
投資額を減らすことに罪悪感がある
NISAで何のためのお金を準備しているのか説明できない
当てはまったからといって、すぐに問題というわけではありません。
ただ、複数当てはまるのであれば、
「NISAにいくら入れるか」ではなく、「NISAに入れても困らない金額はいくらか」
を一度計算してみてもいいでしょう。
それでもNISAは活用した方がいい?
ここまで読むと、「じゃあNISAはあまりやらない方がいいの?」と思うかもしれません。
そうではありません。
NISAは、投資による利益が非課税になる非常に有用な制度です。
長期的な資産形成を考えるうえで、有力な選択肢の一つであることに変わりありません。
問題なのはNISAではなく、「たくさん投資するほど正解」という考え方です。
月30万円投資できる家庭もあれば、月3万円がちょうどいい家庭もあります。
教育費が増えれば積立額を減らす。
収入が増えれば増額する。
大きな支出があれば一時的に止める。
それでもいいのです。
NISAに人生を合わせるのではありません。
人生にNISAを合わせる。
この順番を忘れないようにしたいところです。
まとめ|「貯める・増やす・使う」の3つで考えよう
NISAで将来に備えることは大切です。
しかし、将来のために現在の生活を必要以上に犠牲にする必要はありません。
まず生活を守る現金を確保する。
近い将来必要なお金を準備する。
無理のない金額をNISAで投資する。
そして、今しかできないことにもお金を使う。
お金には、
「貯める」
「増やす」
「使う」
という3つの役割があります。
20年後、証券口座に3,000万円ある。
それは素晴らしいことです。
でも20年後、子どもはもう大人になっているかもしれません。
「あの旅行、楽しかったね」
「あのとき一緒に挑戦したよね」
そんな家族の記憶もまた、お金では買い戻せない大切な財産です。
NISAで増やすために人生があるのではありません。
人生を豊かにするために、NISAがあります。
将来のお金と、今の幸せ。
その両方を守れる金額こそが、あなたの家庭にとっての「ちょうどいい投資額」なのではないでしょうか。
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