レジ前の「これ買って」に、ふと不安になったことはありませんか
スーパーのレジ前で「これ買って!」とねだられ、後ろに並ぶ人の視線を感じながら根負けして財布を開いてしまった。
送迎の車の中でふと「うちの子、将来お金にルーズにならないだろうか」と不安がよぎる。
そんな瞬間、子育て中のご家庭なら一度は経験があるのではないでしょうか。
「今のちょっとした甘さが、将来の浪費癖につながるのでは」という不安は、実は的外れではありません。
ただし原因は「甘やかしすぎ」だけではなく、もっと根本的なところにあります。
問題の本質は「しつけの厳しさ」ではなく「会話の頻度」
子どもは、お金の使い方を「観察」と「体験」から学びます。
親がどれだけ厳しくルールを決めても、日常のなかでお金について言葉を交わす機会が少なければ、子どもはお金の判断基準を自分の中に育てられません。
ケンブリッジ大学のWhitebreadとBinghamによる研究(2013年)では、計画性や自制心といった金銭感覚に関わる認知機能の多くが、7歳ごろまでの習慣形成によって土台がつくられると報告されています。
しつけの厳しさよりも、日々の「小さな会話」の積み重ねが影響しているという見方です。
子どもの金銭感覚は、叱る回数ではなく「お金について話した回数」で育っていきます。
会話が減ってしまう3つの原因
①キャッシュレス化で「お金が減る実感」が消えている
タッチするだけで買い物が完了する時代、子どもの目には「お金が動いている」様子がほとんど映りません。
財布から現金を出す動作がないぶん、会話のきっかけそのものも減っています。
②「お金の話はタブー」という空気
日本の家庭では、お金の話題を避ける傾向が根強く残っています。
悪気はなくても「子どもの前でお金の心配をするものではない」という価値観が、結果的に会話の機会を奪っています。
③忙しさで「理由を説明する余裕」がない
「今日はこれは買わない」だけで終わらせてしまい、なぜダメなのかを言葉にする時間がない。
共働きや家事育児に追われる毎日では、これはごく自然なことです。買い物の工夫と同じように、ちょっとした声かけの積み重ねが後の差になります。
解決方法:会話の「量」より「型」を持つ
特別な時間を作らなくても、日常の会話に「型」を1つ持つだけで変わります。
まずは日本と海外の意識差を見てみましょう。
| 項目 | 日本 | 米国 |
|---|---|---|
| 金融教育を受けたと感じている人の割合 | 9% | 19% |
| 金融知識に自信がある人の割合 | 13% | 64% |
出典:金融経済教育推進機構「金融リテラシー調査2025年」(J-FLEC)
この差は、子ども時代からの会話の積み重ねが少しずつ影響している可能性があると考えられます。断定はできませんが、家庭での対話が金銭感覚の土台を作るという見方とも重なります。
そこで我が家では、次の4ステップを意識してきました。
①買い物のときに「なぜこれを選んだか」を一言添える
⬇
②お小遣いを渡すとき「何に使う予定か」を一緒に考える
⬇
③衝動買いで失敗しても責めずに一緒に振り返る
⬇
④値上げや旅行費用など、家庭のお金の話題を隠さず共有する
大切なのは「正解を教える」ことではなく「一緒に考える回数」を増やすことです。
今日からできる具体アクション
筆者自身、3人の子どもたちと家庭内起業ごっこやメルカリでの売買を通じて、お金が「動く実感」を持たせる工夫をしてきました。
値段をつける、売れた喜びを味わう、そのお金を何に使うか一緒に考える。この繰り返しが、子ども自身の判断軸を育てています。
今日からできることは難しくありません。
レジ前で「これは○円だから、今日は諦めようか」と声に出す。週に一度、5分だけ「今週何にお金を使ったか」を親子で振り返る。
たったこれだけでも、会話の回数は確実に増えていきます。
まとめ
子どもの浪費癖は、生まれつきの性格や甘やかしすぎだけが原因ではありません。
日常のなかでお金について話す回数が、将来の金銭感覚の土台をつくっています。
特別なルールや教材がなくても、今日の買い物やお小遣いの場面から始められます。
お金の会話を家庭の日常に取り戻すことは、親子の信頼関係を育てる子育てにもつながっていきます。
焦らず、できることから少しずつ始めてみてください。
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