「やっぱり、収入って学歴で決まってしまうの?」
「うちの子の将来のために、親として何をしてあげればいいんだろう……」
お子さんの進路や教育費を考えるとき、こんな疑問が頭に浮かんだことはありませんか?
ニュースや統計では「学歴が高いほど年収も高い」と言われます。たしかにデータを見ると、その傾向は事実です。
しかし、データを一歩深く読み解くと、「学歴=収入」という単純な話ではないことが見えてきます。
筆者は、ファイナンシャルプランナーと簿記の資格を持ち、大学生から小学生まで3人の子どもを育てています。前回の記事では「高卒と大卒の生涯年収」を取り上げましたが、今回はさらに掘り下げて、「なぜ学歴で収入に差がつくのか」「学歴以外に収入を左右するものは何か」を解説します。
▼前回の記事はこちら

「学歴のことで子どもにプレッシャーをかけたくない。でも将来は心配……」という方にこそ、読んでいただきたい内容です。
データで見る「学歴と収入」の関係
まずは、事実からです。
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」をもとに、最終学歴別の平均賃金(月額)のおおよその水準を整理すると、次のようになります。
| 最終学歴 | 平均賃金(月額) |
|---|---|
| 高校卒 | 約28万円 |
| 専門学校卒 | 約30万円 |
| 高専・短大卒 | 約30万円 |
| 大学卒 | 約37万円 |
| 大学院卒 | 約47万円 |
※全年齢の平均値をもとにした概数です。
このように、平均で見ると学歴が上がるほど賃金も高くなっており、高卒と大学院卒では月額で約20万円、年収に換算すると200万円以上の差があります。
ただし、ここで注意したいのは、これはあくまで「平均」の話だということです。
実は、同じ学歴の中での収入の差は、学歴間の差よりもはるかに大きいのです。高卒でも年収1,000万円を超える人はいますし、大卒でも平均を大きく下回る人もいます。
学歴は収入の「傾向」を作りますが、あなたの子どもの収入を「決定」するわけではありません。
なぜ学歴で収入に差がつくのか?3つの理由
では、なぜ平均すると学歴で収入に差がつくのでしょうか。原因は大きく3つあります。この仕組みを知ることが、「学歴に振り回されない進路選び」の第一歩です。
理由①:教育によって「人的資本」が増えるから
1つ目は、シンプルに「学ぶことで稼ぐ力が上がる」からです。
専門知識やスキル、論理的に考える力は、仕事の生産性を高めます。経済学ではこれを「人的資本」と呼び、教育は人的資本への投資と考えられています。
医師や薬剤師、エンジニアなど、専門教育がそのまま仕事に直結する職業をイメージすると分かりやすいですね。
教育の本当の価値は「卒業証書」ではなく、身につけた「稼ぐ力」にあります。
理由②:学歴が「採用の入口」を左右するから(シグナリング)
2つ目は、学歴が就職活動での「シグナル」として使われるからです。
企業は応募者一人ひとりの能力を短時間で見抜けません。そこで「学歴」を、努力できる人かどうかのシグナルとして使います。大企業の新卒採用で大卒が条件になっていたり、初任給が学歴別に設定されていたりするのはこのためです。
つまり、学歴の差は能力の差というより、「入口で選べる選択肢の数」の差として現れるのです。
ただし、これはあくまで「入口」の話。入社後は成果や実力で評価が決まる会社が増えていますし、転職市場では「何ができるか」が学歴より重視されます。
理由③:環境と人脈が「当たり前の基準」を作るから
3つ目は、周りの環境の影響です。
人は良くも悪くも、周囲の「当たり前」に引っ張られます。挑戦する仲間が多い環境にいれば挑戦が当たり前になり、収入の高い業界の情報も自然と入ってきます。
大学進学が収入につながりやすいのは、こうした環境と人脈の力も大きいのです。
筆者自身も、社会人になってからオンラインコミュニティに参加して痛感しましたが、「誰と一緒に学ぶか」は、想像以上に人の行動を変えます。我が家で子どもたちの友人関係や習い事の環境を大切にしているのも、この理由からです。
学歴よりも収入を左右する3つの要素
ここからが本題です。実は、社会に出てからの収入は、学歴以外の要素に大きく左右されます。特に影響が大きいのは次の3つです。
①どの業界・職種で働くか
収入は「個人の頑張り」だけでなく、「業界の儲かる仕組み」で大きく決まります。
同じ営業職でも、金融・IT・メーカー・小売では給与水準が大きく違います。利益率の高い業界は給与も高くなりやすいからです。
極端に言えば、「どこで頑張るか」は「どれだけ頑張るか」と同じくらい重要なのです。
学歴に自信がなくても、伸びている業界・人手不足の業界を選ぶことで、収入を大きく伸ばすことは十分可能です。
②社会人になってから学び続けるか
学校を卒業した時点の学歴は、いわば「スタート地点」にすぎません。
資格取得、リスキリング、副業への挑戦など、社会人になってからの学びは、そのまま収入の伸びにつながります。
筆者自身も、ファイナンシャルプランナーや簿記の資格は社会人になってから取得しました。さらに40代からウェブライターやブログにも挑戦し、副業収入の柱に育ちつつあります。
「学歴」は変えられませんが、「学び」は今日からでも増やせます。
③お金の知識があるか
意外と見落とされがちですが、「稼ぐ力」と同じくらい大切なのが「貯める力・増やす力」です。
年収が高くても、使ってしまえば手元には残りません。逆に、平均的な収入でも、家計管理と資産形成を続ければ、着実に資産は積み上がります。
例えば、毎月3万円をNISAで積み立てて年利5%で30年間運用できれば、元本1,080万円に対して約2,500万円になる計算です。
▼NISAが初めての方は、こちらの記事で基本から解説しています

我が家も、月1回の家計簿づけとインデックス投資・高配当株投資を続けていますが、収入の差は、お金の知識で十分に逆転できるというのが、FPとしての実感です。
親子で今日からできる3つのアクション
最後に、この記事の内容を家庭で活かすためのアクションを3つご紹介します。
①学歴と収入のデータを親子で一緒に見る
「大学に行きなさい」と言葉で言うより、実際のデータを一緒に眺めるほうが、子どもは自分ごととして考えられます。その際は「平均の差」だけでなく、「同じ学歴の中でも大きな差がある」ことも、ぜひセットで伝えてあげてください。
②「どの学校に行くか」より「何を学ぶか」を話し合う
学校名や偏差値ではなく、「何を学びたいか」「どんな仕事に興味があるか」「その仕事はどんな業界にあるか」を話題にしてみましょう。業界による収入の違いを知るだけでも、進路の解像度はぐっと上がります。
③家庭でお金の教育を始める
お小遣いの使い道を一緒に振り返る、買い物で値段を比べる、親がNISAで積立している話をするなど、小さなことで十分です。お金の知識は、学歴に関係なく一生使える「稼ぐ力・守る力」になります。
まとめ
今回は、学歴と収入の関係について解説しました。ポイントを整理します。
- 平均で見ると、学歴が高いほど収入も高い傾向があるのは事実
- ただし、同じ学歴の中での収入差は、学歴間の差よりも大きい
- 差がつく理由は「人的資本」「採用の入口(シグナル)」「環境と人脈」の3つ
- 社会に出てからは、業界選び・学び続ける力・お金の知識が収入を大きく左右する
- 親ができるのは、データを一緒に見て、学ぶ楽しさとお金の知識を家庭で育てること
学歴は、子どもの人生の選択肢を広げてくれる大切な要素です。しかし、それがゴールではありません。
学歴はスタート地点、そこからの学びと選択が収入を決める。
この視点を親子で共有できれば、進路の話し合いはもっと前向きなものになるはずです。この記事がそのきっかけになれば幸いです。
▼続編では、実践編として「給料アップのために押さえたい5つの要素」を解説しています

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