「うちの子、大学に行かせたほうがいいのかな……」
「大学までの学費、本当に用意できるだろうか……」
子育てをしていると、一度はこんな不安が頭をよぎりますよね。
特によく耳にするのが、
「大卒のほうが生涯年収は約5,000万円高い」
という話です。
この数字だけを見ると「何としても大学に行かせなければ」と焦ってしまいます。
しかし、この5,000万円という数字、実はそのまま鵜呑みにしてはいけないことをご存じでしょうか。
筆者は、ファイナンシャルプランナーと簿記の資格を持ち、大学生から小学生まで3人の子どもを育てながらお金や子育ての相談を受けています。
我が家でも「進学とお金」は避けて通れないテーマとして、何度も家族会議をしてきました。
この記事では、「高卒と大卒、どちらが有利なのか?」という疑問について、FP(ファイナンシャルプランナー)の資格を保有する筆者が、生涯年収のカラクリから、AI時代に本当に必要な力まで、お金と子育ての両方の視点から解説します。
お子さんの進路にモヤモヤしている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

高卒と大卒、生涯年収は本当に5,000万円違うのか?
まず、よく言われる数字を整理してみましょう。
厚生労働省の賃金統計や各種調査を見ると、確かに平均では大卒のほうが賃金は高く、生涯年収でも数千万円の差があります。
| 比較項目 | 高卒 | 大卒 |
|---|---|---|
| 就職年齢 | 18歳 | 22歳 |
| 社会人年数 | 約47年 | 約43年 |
| 平均年収 | 低め | 高め |
| 生涯年収 | 約2.3〜2.5億円 | 約2.8〜3.0億円 |
これだけを見ると、「やっぱり大学へ行くべきだ」と思ってしまいますよね。
しかし、ちょっと待ってください!
この比較には重要なものが含まれていません。
それは、
- 大学4年間の学費
- 一人暮らしの費用
- 働かなかった4年間の収入
- 奨学金の返済
です。
つまり、「大学へ行くコスト」を差し引いた比較ではないのです。
さらに、大卒の平均年収には、医師や弁護士、大企業の総合職といった高収入層も含まれています。
一方で、大卒でも非正規雇用や低賃金の仕事に就く人もいます。
「平均では大卒が有利」という傾向はあるものの、個人レベルでは、学歴だけで収入が決まるわけではありません。
簿記を学んだ方ならピンとくるかもしれませんが、収入だけ見て費用を見ないのは、売上だけ見て利益を見ないのと同じことなのです。
高卒最大の武器は「時間」〜複利の力〜
大学生が講義を受けている4年間。
高卒で就職した人は、社会人として経験を積み、お金を稼ぎ始めています。
実はこの4年間、お金以上に価値があります。
例えば、18歳から毎年150万円ずつ投資したとしましょう。
22歳になる頃には元本600万円。さらにそのまま年利7%で40年間運用できたとすると、およそ9,000万円規模まで増える可能性があります。
一方、大卒は22歳から投資スタート。
投資額が同じでも、「時間」が短いぶん、最終的な資産は大きく変わってきます。
投資で登場する複利には、「元本」より「時間」に強く影響されるという特徴があるからです。
筆者自身もインデックス投資と高配当株投資を実践していますが、正直な感想は「もっと早く始めていれば……」の一言に尽きます。

だからこそ我が家では、子どもたちにも早いうちからお金の話をするようにしています。
もちろん、現実には18歳で年間150万円を投資できる人は多くありません。
それでも、「少額でも早く始めること」の価値は変わらないのです。
大学4年間は「人的資本」への投資
では、大学へ行く価値は何でしょうか。
答えは、お金だけでは測れない「人的資本」にあります。
人的資本とは、
- 知識
- スキル
- 人脈
- 信頼
- 経験
など、自分自身が持つ「将来の収入につながる資産」のことです。

大学では、同じ目標を持つ仲間、教授との出会い、OB・OGのネットワーク、サークル活動、留学、インターンシップなど、お金では買えない経験が得られます。
実際、多くの起業家が「大学時代の友人」と会社を立ち上げています。
社会人になってから利害関係のない友人を作るのは意外と難しいもの。
大学の4年間は、一生モノの人間関係を作れる貴重な時間でもあるのです。
今は大学以外でも「人的資本」を作れる時代
一方で、現代は20年前とは大きく状況が変わりました。
ひと昔前は「人脈=大学」でした。しかし今は、
- オンラインサロン
- Discordなどのコミュニティ
- AI関連のコミュニティ
- プログラミングスクール
- X(旧Twitter)やLinkedIn
など、学歴に関係なく優秀な人とつながれる環境がそろっています。
例えば、オンラインのコミュニティでは、高校生でも、会社経営者・エンジニア・医師・弁護士・大学教授といった人たちと普通に交流できます。
筆者自身もオンラインコミュニティでの出会いをきっかけに、ライターやブログなどの新しい挑戦が広がりました。
つまり、人的資本を作る手段は、もう大学だけではなくなったということです。
もちろん、大学ならではの濃い人間関係やキャンパスライフまでは代替できません。
ただ「人脈を作る」という目的だけで見れば、選択肢は確実に広がっています。
AI時代は「学歴」より「学び続ける力」
AIの急速な発展により、知識そのものの価値は相対的に下がっています。
分からないことがあれば、ChatGPTやClaude、GeminiといったAIに聞けば、多くのことは数秒で答えが返ってくる時代です。

だからこそ、これから重要になるのは、
- AIを使いこなす力
- 問いを立てる力
- 情報を見極める力
- 学び続ける姿勢
- コミュニケーション能力
です。
大学へ行っても、学ばなければ意味がありません。
逆に、高卒でも継続して学び、AIを活用しながらスキルを磨く人は、大きく成長できる時代になっています。
結局、高卒と大卒はどちらが有利なのか?
この問いに、唯一の正解はありません。
医師や教師、建築士、研究職など、大学卒業が必須または有利な職業を目指すなら、大学進学には非常に大きな価値があります。
一方で、営業職やITエンジニア、起業家、クリエイターなど、実力や成果が重視される分野では、高卒でも十分に活躍できます。
大切なのは、「高卒か大卒か」という肩書きではなく、「18歳からの4年間をどう使うか」です。
大学で専門知識や人脈を築くことも立派な投資ですし、高卒で働きながら資産形成やスキル習得に励むことも、将来の大きな財産になります。
親子で今日からできる3つのアクション
最後に、この記事の内容を「我が家の行動」に変えるためのアクションを3つご紹介します。
①進学の「コスト」を親子で見える化する
学費・生活費・奨学金の返済額を紙に書き出してみましょう。
「大学に行くにはいくらかかるのか」を親子で共有するだけで、進路の話し合いの質が大きく変わります。
②少額でも「早く」資産形成を始める
複利の味方は時間です。
親自身がNISAなどで少額からでも投資を始め、その経験を子どもに話してあげることが、何よりの金融教育になります。
③学歴以外の「人的資本」の育て方を話し合う
コミュニティへの参加、資格や検定への挑戦、AIツールに触れてみることなど、大学以外にも自分を成長させる手段があることを、ぜひ食卓の話題にしてみてください。
まとめ
今回は、「高卒と大卒、どちらが有利なのか?」というテーマについて解説しました。
ポイントを整理すると、次のとおりです。
- 「生涯年収5,000万円差」は、学費や4年分の収入などのコストを差し引いていない数字
- 高卒最大の武器は「時間」。複利は元本より時間に強く影響される
- 大学の価値は、お金だけでは測れない「人的資本」にある
- ただし今は、大学以外でも人的資本を作れる時代
- AI時代に重要なのは、学歴よりも「学び続ける力」
これからの時代は、学歴そのものよりも、時間・お金・人的資本をどう積み上げるかが人生の豊かさを左右します。
「大学に行くかどうか」で悩んだら、ぜひ「その4年間で何を積み上げるか」という視点で、親子で話し合ってみてくださいね。
この記事が、お子さんの進路とお金について考えるきっかけになれば幸いです。
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