「投資を始めてみたけど、正直怖くて……」
先日、保育園児のパパからこんな相談を受けました。
積立NISAを始めたはいいけれど、子どもの急な病気や車の修理など「まとまったお金が急に必要になったとき」のことが心配だそうです。

その気持ち、すごくわかります。
「投資」と「貯金」のバランスがわからないまま投資を始めると、いざというときに困ってしまいます。
この記事では、FP(ファイナンシャルプランナー)の資格を持ち、自身も子育て中の筆者が「生活防衛資金」の考え方と、積立NISAとのバランスの取り方を解説します。
■ 問題の本質:「投資を始める前」に知っておくべきこと
投資の情報は溢れています。
「早く始めるほど有利」「複利の力で資産が増える」……どれも正しいのですが、一つ大事なことが抜けています。
それは
「投資は、余裕資金でやるべき」
ということです。
生活に必要なお金まで投資に回してしまうと、相場が下がったタイミングで「お金が必要だけど売ると損が確定してしまう」という最悪の状況に陥ります。
子育て世帯が投資で失敗しやすい3つの理由
① 「生活防衛資金」という概念を知らない
投資の本やYouTubeでは「早く始めろ」という情報ばかり出てきます。
でも「先にこれを確保しなさい」という話はあまり取り上げられません。
何かあった時のための「生活防衛資金」を確保せずに投資を始めてしまうと、万が一のときに詰んでしまいます。

② 子育て世帯は「突発的な出費」が多い
特に子育て世帯では、
子どもが急に熱を出してタクシーを使った、保育園の遠足で急いで上着を買った、自転車が壊れた……
などハプニングが起きやすい環境です。
子育て中は想定外の出費が日常的に起きます。
これらの突発的な出費に対応できる現金が手元にないと、精神的にも追い詰められます。
③ 投資と貯金を「どちらかゼロ」で考えてしまう
「貯金ゼロで全力投資」か「投資ゼロで全部貯金」か、どちらかに偏ってしまう方が多いです。
本来は「守るお金」と「育てるお金」を分けて管理することが正解です。
生活防衛資金とは何か、いくら必要か
生活防衛資金とは?
生活防衛資金とは、「急な収入減や予期せぬ出費に備えて、手元に現金で置いておくお金」のことです。
リストラ・病気・天災など、万が一の事態が起きても生活を維持できる「盾」です。
この資金は、絶対に投資に回してはいけません。
普通預金や定期預金として、すぐに引き出せる状態で持つことが鉄則です。
いくら必要か?
一般的な目安は「生活費の3〜6ヶ月分」です。
例えば月の生活費が25万円の家庭なら、75万〜150万円が生活防衛資金の目安です。
ただし、子育て世帯は以下の点でより多めに確保することをおすすめします。
- 子どもの医療費・教育費の突発的な出費がある
- 育児休業中など一時的な収入減のリスクがある
- 住宅ローンがある場合は返済が続く
積立NISAとのバランスの取り方
生活防衛資金を確保できた後、余剰資金があるようであれば、NISAでの運用をおすすめします。
もし、生活防衛資金がまだ不足しているのなら、まずは、そちらを貯めることをお勧めします。
ステップ①:まず生活防衛資金を確保する
最初に生活費6ヶ月分の現金を普通預金(or高金利の定期預金)に確保します。
これが完成してから投資を始めましょう。
「早く投資したい!」という気持ちはわかりますが、土台なき投資は砂の上の城です。
まず、守りを固めるため、盾を作ってから剣を持ちましょう。
ステップ②:月の余剰資金を「貯金」と「投資」に振り分ける
生活防衛資金が確保できたら、毎月の家計から余剰資金を「追加貯金」と「NISA(つみたて投資枠)」に振り分けます。
目安のバランスは以下の通りです(あくまで参考)
- 収入に余裕がある場合:余剰分はすべて投資
- 家計が少し苦しい場合:投資7割、貯金3割
- 数年後急な出費が予想されている場合の場合:投資3割、貯金7割
大切なのは「毎月続けられる金額」で積立することです。
相場が下がっても続けられる金額を設定しましょう。

ステップ③:年に1回バランスを見直す
ライフステージの変化(子どもの入学・転職・マイホーム購入など)に合わせて、年に1回バランスを見直す機会を作りましょう。
我が家でも、子どもが小学校に上がったタイミングで改めて積立金額と防衛資金のバランスを見直しました。
■ 具体例:月収35万円・子育て世帯のモデルケース
【家族構成】夫婦+子ども1人 / 住宅ローンあり / 月収手取り35万円
【月の支出】生活費22万円 + ローン8万円 = 30万円
【余剰資金】5万円
この場合、目標の生活防衛資金は「22万円×6=132万円」。
すでに100万円貯まっていたとしたら、あと32万円貯まるまでは貯金優先。
達成後は以下のように振り分けます。
- 積立NISA:月3万円(夫婦それぞれ1.5万円ずつ)
- 教育費積立(学資保険・別口座):月1万円
- 追加の生活費予備:月1万円
「全部一気に完璧にする」ではなく、順番を守って一つずつ積み上げることが大切です。
今日からできる具体的アクション
ここでは、今日からできる生活防衛資金の備え方をご紹介します。
STEP1:今の銀行残高を確認し「生活費の何ヶ月分か」を計算する
まず現状把握。計算してみると「思ったより少ない」と気づく方も多いです。
STEP2:毎月いくら余剰資金があるか把握する
家計簿アプリ(マネーフォワードなど)を使うと簡単です。
STEP3:「生活防衛資金が貯まったら積立NISAを〇〇円に増やす」と決めておく
目標と順番を決めておくと、焦らず続けられます。
■ まとめ
投資は「早く始めること」より「正しい順番で始めること」が大切です。生活防衛資金という土台を作ってから、積立NISAで長期・積立・分散投資を続けていきましょう。
子育て中はどうしてもお金の不安が尽きませんが、「守るお金」と「育てるお金」をきちんと分けることで、長期的には家族の資産形成は着実に進んでいきます。
焦らなくて大丈夫。正しい順番を守れば、投資は必ず家族の味方になります。
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