そもそも「退職金」ってなぜもらえるの?
「退職金」の金額ってどうやって決めているの?
退職金が口座に入金されたら銀行からの電話が増えた?
効果的な退職金の使い方はどのようなもの?
こんな疑問やお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
会社務めをされている方にとっては、「自分が定年退職する際には退職金が支払われるのか?」と一度は考えたことがあるかもしれません。
また、転職活動が盛んになって、勤めていた会社から退職金をもらう場面が増えており、次のステップに進むためにも自分の退職金の額が気になるところ。
実際に退職金を得た人は、一度にまとまった金額が手元に入り、どのように活用したらいいのかが悩んで、気が付いたら金融機関の甘い言葉に誘われ浪費ということも。
そこで、今回の記事では、筆者が「退職金が支払われる理由」「退職金の計算方法」「退職金の落とし穴と効果的な活用方法」などの「退職金のギモン」についてご紹介します。
「退職金」が支払われるのは、感謝の表れ!?
退職金は、従業員が長年の勤務を終えた際に企業から支払われる一時金です。
この制度は、従業員が退職後も安定した生活を送るための経済的支援として設計されており、働いた年数や役職に応じて金額が異なります。
退職金は、単なるボーナスとは異なり、従業員の勤続に対する企業の感謝の表れとしても位置づけられています。
退職金制度があることで、「長く勤め続けよう」という従業員のモチベーションにつながるので、優秀な人材の定着には、欠かせません。
厚生労働省の令和5年就労条件総合調査によれば、退職金の給付制度がある企業は約75%となっており、多くの企業が導入していることが分かります。
また、金額が役職に応じて変動する制度設計であれば、従業員の向上心も高められるので、業績アップを見込んで多くの会社で導入されているのが現状です。
退職金の原資は会社が準備しますが、退職金を支払うのは会社とは限らず、退職後はその機関が会社に代わって年金を支給する、確定給付型企業年金や確定拠出年金(企業型DCなど)などもあります。
ちなみに、会社は「退職金」「退職金引当金」といった会計上の項目(勘定科目)でお金を用意しています。
退職金の計算方法は、「最終給与の月額×勤務年数×係数」
退職金の計算方法は、企業によって異なりますが、多くの場合、勤務年数と最終給与に基づいて計算されます。
基本的な計算式は、最終給与の月額×勤務年数×一定の係数で算出され、この係数は企業の規定や業界の標準によって設定されます。
例えば、勤務年数が10年で月給が30万円の場合、係数が0.5だと仮定すると、退職金は「30万円 × 10年 × 0.5 = 1500万円」となります。
ただし、この計算にはさまざまな変数(退職時の役職やポストでの勤務年数など)が関わってくることもあるため、具体的な退職金の額を予測するには、勤務先の詳細な規定を確認する必要があります。
なお、厚生労働省(中央労働委員会)「令和3年賃金事情等総合調査」によれば、大学卒は22歳、高校卒は18歳で入社し、同一企業に定年退職するまで勤務した場合(満勤勤続)の平均退職金額は大学卒 2,230万4,000円、高校卒 2,017万6,000円(資本金5億円以上かつ労働者1,000人以上)です。
人事担当の部署に照会してみるといいかもしれませんね。
退職金の落とし穴がある?
退職金を受け取る際には、その使い道を賢く計画することが重要です。
一方で、退職金は1度に多額のお金を手にする場面ですから「落とし穴」も存在します。ここではいくつかご紹介します。
銀行からの勧誘が活発
銀行が提供する投資商品の勧誘が活発になることが想定されます。
銀行は顧客の口座情報を管理しているので、多額の入金がされるとすぐに把握できます。
一方で、単にお金を預けたり借りたりするだけではなく、金融商品(投資商品や保険)も販売しています。
そこで、一部の金融機関が退職金を受け取ったことを知ると、高額な投資商品や保険の勧誘がある場合があります。
「退職金だけは老後は不安ではないですか?」
「退職金をただ貯金するだけではもったいないですよ」
こんな言葉に乗せられて大切な退職金を溶かしてしまわないように慎重に判断しましょう。
税金の支払いを忘れがち
退職金は、通常、その支払を受けるときに所得税及び復興特別所得税や住民税が源泉徴収又は特別徴収されます。
勤務先に所定の手続をしておけば、源泉徴収で課税関係が終了しますので、原則として確定申告をする必要はありません。
この退職金は、長年の勤労に対する報償的給与として一時に支払われるものであることなどから、退職所得控除を設けたり、他の所得と分離して課税されるなど、税負担が軽くなるよう配慮されていますが、課税はされるので、想定していた金額と異なる可能性もあります。
退職金の計算の際には、事前に「手取り」がいくらになるのかを慎重に計算することが大切です。
退職金で気持ちが大きくなってしまい浪費や詐欺被害
人は一度に大きな大金を手に入れると気持ちが大きくなってしまい、生活水準が変化してしまう傾向はあるようです。
宝くじの当選者が自分のキャパを超える大金を手に入れてしまい、却って不幸になってしまったという話はよく目にします。
あくまで退職金は、定年後の生活保障の意味も含んだものなので、大規模な浪費は控えておいた方がよいかと思います。
また、人はお金に群がります。
一度に大金を取得したという情報が出回ると、詐欺に合うリスクなども増えます。
例えば、自分が退職金を得たことなどをSNSで発信するようなことは控えておいた方がよさそうです。
活用方法(ライフイベントの資金と投資)
せっかくの退職金ですから、こうした落とし穴に落ちず、自己の財務状況と将来計画に基づいて慎重な選択を行うことが重要です。
特に2つの視点が重要です。
ライフイベントに備えた資金としての確保
退職金の一部を緊急時の備えとして確保することが基本です。
自らのライフプランを慎重に立てて、予期せぬ出費や将来の医療費用に備えることができます。
特に定年後は体力も衰え、病気になるリスクが大きくなります。
また、長年の勤務から離れ人生の第2ステージを謳歌できる時間を手に入れる方も多いと思います。
このようなために一定金額は貯蓄をするのがよいかもしれません。
また、退職金を使って住宅ローンを完済したり、子供の教育費用や結婚資金に充てたりすることで、ライフイベントのための資金として活用することも大切です。
転職をされる方は、転職活動が終わるまで生活を維持する資金が必要となります。
まずは、生活を防衛するための資金を確保するのが先決です。
未来に向けた投資
そして、ライフイベントのための資金が確保できたら、将来的に利益を生むような賢明な投資を行うことが望ましいです。
あくまで退職後の将来を充実させるための投資なので、ハイリスクハイリターンのものではなく、安定的な成長が見込まれるインデックス投資などがおすすめです。
インデックス投資は中長期投資が基本!
証券口座を開設していない方は、口座開設し、早期に投資を開始することをおすすめします。
また、自己投資としてキャリアのスキルアップや資格取得のための資金にすることも、将来的な収入向上につながります。
さまざまな資格があるので興味のあるものを選ぶと日々の充実を感じられると思います。
このようにして退職金を賢く管理し、不必要なリスクを避けることが、安定した将来への投資となります。
まとめ
この記事を通じて、退職金の基本的な概念、計算方法、そして賢い活用方法について解説しました。
退職金は単なる一時金ではなく、将来の安定と目標達成のための大切な資源です。
早い段階で退職金制度について理解し、その準備を始めることを強くお勧めします。
具体的には、退職金の計画を立てる際には、ライフイベントのための資金の確保から始め、長期的な財務目標に沿った賢明な投資計画を検討することが重要です。
金融機関からの不要な勧誘には注意し、自身の財務状況に最も合致する選択を心掛けることが肝要です。
退職金を効果的に管理し活用することで、未来の不確実性に備え、より安定した生活を築くことができるでしょう。
おまけ
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