
「家賃を値上げします」という通知が来たけど
支払わないとダメなの?

支払わないと退去させられてしまう?
「家賃を値上げします」という突然の通知に、こんな不安や戸惑いを感じていませんか?
先日、都内のあるマンションでは、家賃が突然約2.5倍に上がり4割の世帯が「退去」するという報道もありました(→詳しくはこちら)
そこまでではなくても、家賃増額によって、毎月の固定費が増えるのは大きな悩みですよね。
ただ、実は、家賃の値上げは「必ずしも応じる必要がない」ってご存じでしたか?
家賃の変更には法律上のルールがあり、借りている側にもきちんとした「守られている権利」があります。
そこで、この記事では、「家賃を上げたい」と言われたときに慌てず、損をしないための具体的な考え方と対応方法を丁寧に解説します。
突然の家賃値上げ通知。そのとき、どうするべき?
ある日、自宅のポストに一通の通知が届く。それは「家賃を来月から値上げします」というお知らせ。
「え、そんな急に?」「今のままでは住めなくなっちゃう…」と不安になる方も多いでしょう。
家計の中でも家賃は大きな固定費なので、金額が1割上がるだけでも毎月の支出に大きな影響を及ぼします。
でも安心してください。
家賃の値上げ通知が届いたからといって、必ずしもその通りに従わなければならないわけではありません。
家賃は勝手に上げられない!その理由とは?
結論から言えば、大家さんが一方的に決めて家賃を上げることはできません。
日本の法律(借地借家法)では、家賃の値上げには「正当な理由」が必要であり、さらに「借り主の合意」がない限り成立しないとされています。
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第32条 ①建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。 ②建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。 ③建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。
具体的な「正当な理由」とは、たとえば以下のようなケースです。
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物価や税金の上昇など、経済的な変化があった場合
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周辺地域の賃貸相場と比べて、明らかに家賃が安すぎる場合
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建物の維持コストが大幅に上昇した場合 など
つまり、「最近収益が少なくて困ってるから」「他の物件が値上がりしてるから」という曖昧な理由ではNG。
合理的で、客観的に見ても納得できる理由がなければ、家賃は上げられないのです。
しかも、それに対してあなた(借主)が同意していない限り、変更は無効。
このことを知っているだけでも、ぐっと安心できますね。
値上げ通知を受け取ったらどうする?冷静な対応がカギ
では、実際に「家賃を上げたい」という連絡が来たら、どのように対応するのがベストなのでしょうか?
ここからは、落ち着いて行動するためのステップを紹介します。
ステップ①:すぐに返事をせず、「確認します」と伝える
まずやるべきは、即答しないことです。
家主がどれだけ強気に出てきても、「少し考えさせてください」「詳しく確認したいので、少し時間をください」と答えましょう。
感情的にならず、冷静なトーンで返すことが大切です。
ステップ②:値上げの理由と根拠を聞いてみる
「今回の値上げの理由は何ですか?」と、ストレートに聞いて問題ありません。
相手に悪意がない場合でも、法的な根拠を持っていないケースは多いです。
もし「周りが上がっているから」と言われたら、「具体的にどの物件と比べていますか?」と聞いてみましょう。
ここで明確な根拠を出せない場合、値上げはかなり弱い主張だと考えられます。
ステップ③:自分でも相場を調べてみる
スマホやPCで不動産サイトを使えば、今住んでいる地域の家賃相場はすぐにチェックできます。
築年数や間取りが近い物件を比較することで、「今の家賃は高すぎないか?」を客観的に確認できます。
もし現在の家賃が相場通り、あるいは高めであれば、値上げの正当性はさらに薄れます。
逆に、明らかに相場より安い場合でも、それをもってすぐ値上げに応じる必要はありません。
「長期的に住んでいること」や「設備に多少不満がある」などの事情を踏まえて、交渉の材料にできます。
ステップ④:交渉はあくまで柔らかく、冷静に
「この部屋は気に入っているので、できれば今の条件で住み続けたいです」と伝えることで、相手も話を聞きやすくなります。
さらに、「更新料は払う予定ですし、長く住むつもりです」といった将来の関係性を示すことも効果的です。
「家賃を下げて」とは言いにくいかもしれませんが、「今回は据え置きでご検討いただけませんか?」と伝えるだけでも、印象は大きく変わります。
もし直接言いにくい方は、文書を送付するのも効果的です。
それでも合意に至らなければどうなる?
では、話し合っても意見が合わず、家主が「値上げに応じないなら出て行って」と迫ってきた場合はどうすればいいのでしょうか。
まず、知っておきたいのは、合意がない限り、新しい家賃を払う必要はないということです。
そして、これまでどおりの家賃を払い続けていれば、契約上のトラブルにはなりません。
相手が「新しい家賃じゃないと受け取らない」と拒否してきたら、法務局に供託(きょうたく)することで、支払ったことと同じ法的効果を持たせることができます。
このような法的な制度もあるため、相手が強く出てきても冷静に対処することが大切です。
それでも不安…そんなときは「引越し」も選択肢に
とはいえ、「揉めたまま住み続けるのは落ち着かない…」という方もいるでしょう。
そんなときは、無理に交渉を続けるよりも、新たな住まいを探すという選択肢をとるのも正解です。
最近は「敷金・礼金ゼロ」「初期費用3万円以下」といった、お得な物件も増えてきています。更新時期にあたっている場合は、更新料の1〜2ヶ月分を引越し資金に充てることも可能です。
自分の条件に合った物件を探してみるだけでも、今の家賃が高いか安いかの判断材料になります。
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まとめ:家賃の値上げは“合意しなければ成立しない”
家賃の値上げは、大家さんにとっても勇気のいる決断です。しかし、借りる側には法律でしっかりと守られた権利があります。
以下のポイントを押さえて、焦らず・冷静に対応していきましょう。
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家賃の値上げには正当な理由と借主の合意が必要
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通知が来ても、即座に応じる義務はない
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相場を調べて、妥当性を確認しよう
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話し合いは冷静に、対話を大切に
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どうしても納得できないなら、引越しも選択肢に
毎月の家賃は家計に直結する重要な要素。
しっかり情報を集め、自分の意思で納得できる判断をしましょう。この記事が、あなたの「損をしない選択」の一助となれば幸いです。
筆者活動のご紹介
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