「うちの子、お金の価値がまだよくわかっていないみたい」
「お小遣いをあげても、すぐに使い切ってしまう」
——そんな悩みを抱えている親御さんは少なくないのではないでしょうか。私自身、3人の子どもを育てる中で、同じ壁に何度もぶつかってきました。
教科書やドリルでお金の勉強をさせようとしても、子どもはすぐに飽きてしまいます。
座学だけのお金の教育は、残念ながら子どもの心にはほとんど残りません。
そこで我が家が実践してきたのが、フリマアプリ「メルカリ」を使った実践型の金融教育です。
今日は、その体験から見えてきたお金の教育の本質と、今日から家庭でできる具体的な方法をお伝えします。
私はファイナンシャルプランナーと簿記の資格を持ち、日々家計のご相談を受けていますが、意外にも「投資の話」より「子どもとどうお金の話をすればいいか」という相談のほうが多いと感じています。
それだけ、多くの親が手探りでこの課題に向き合っているということでしょう。
もちろん、我が家でも最初からうまくいったわけではありません。
例えば、お小遣い帳をつけさせようとして3日で挫折した苦い経験があります。
しかし、そこから試行錯誤を重ね、たどり着いたのが「実際に売ってみる」という体験型のアプローチでした。
お小遣い制だけでは、お金の力は育たない
多くの家庭では「お小遣い制」を導入し、それでお金の教育は十分だと考えがちです。
しかし、実際にはお小遣いを「もらって使うだけ」の仕組みでは、子どもはお金を稼ぐ大変さや、値段がどう決まるのかという仕組みを理解できません。
問題の本質は、子どもが「お金の入り口」を体験していないことにあります。
私たちの社会では、学校でお金について体系的に教える機会がほとんどありません。
以前の記事「なぜ学校では「お金」のことを教えないのか?」でも触れましたが、家庭がその役割を担わざるを得ないのが現実です。
であれば、家庭でこそ「稼ぐ」「値付けする」「売れない理由を考える」という、社会の縮図のような体験をさせることが重要になります。
金融教育がうまくいかない3つの原因
子どもへの金融教育がうまくいかない背景には、主に3つの原因があると感じています。
1つ目は、「お金の話はまだ早い」という大人の思い込みです。
実際には、小学校低学年からでも「これはいくらで売れると思う?」という問いかけは十分に成立します。
年齢を理由に先送りにしてしまうと、思春期になってから急に「お金の話をしよう」としても、子どもは興味を示してくれません。
2つ目は、失敗を経験させる機会を親が奪ってしまうことです。
子どもが値付けを間違えたり、売れずに在庫を抱えたりすることを、親がつい先回りして防いでしまいます。
しかし、この「うまくいかなかった経験」こそが、次の工夫につながる一番の学びです。
3つ目は、お金の教育を「お小遣いの管理」だけに矮小化してしまうことです。
使い方を教えるだけでなく、「どうやって生み出すか」という視点がなければ、社会に出たときに稼ぐ力・価値を生み出す力が育ちません。
これら3つの原因に共通しているのは、親自身が「お金の教育とはこういうものだ」という固定観念にとらわれてしまっていることです。
私自身、簿記の資格を持ちながらも、子どもへの教え方については何年も模索を続けました。
数字の知識と、それを子どもにわかりやすく伝える技術はまったく別物だと痛感したのを覚えています。
だからこそ、教えるのではなく「一緒に体験する」というスタンスに切り替えたことが、我が家にとって大きな転機になりました。
メルカリを使った実践型金融教育のすすめ
我が家では、子どもたちが使わなくなったおもちゃや本を、一緒にメルカリに出品するところから始めました。
写真の撮り方、商品説明の書き方、価格の決め方まで、できるだけ子ども自身に考えさせます。実際に、長男が値段を決めた古いブロック玩具は、最初1,200円で出品して1週間売れず、思い切って800円に下げたところ数時間で売れました。
この体験を通じて、子どもは「高すぎると誰も買わない」「市場には相場がある」という、教科書には書いていない生きた経済感覚を学びました。
売上金の使い道についても、家族で話し合うルールを作っています。全額を好きなものに使うのではなく、「使う」「貯める」「増やす」の3つに分けて考える習慣をつけることで、将来の資産形成の土台にもつながっていきます。
実際、子どもたちが投資に興味を持ち始めたタイミングで、新NISAやiDeCoといった制度についても、簡単な言葉で説明するようにしています(詳しくは「新NISA vs iDeCo」でも解説しています)。
| 方法 | 学べること | 向いている年齢 |
|---|---|---|
| お小遣い制のみ | 予算内でやりくりする力 | 幼児〜小学校低学年 |
| メルカリ出品体験 | 価格設定・需要と供給・信用 | 小学校中学年〜中学生 |
| 家庭内起業ごっこ | 売上・原価・利益の考え方 | 小学校高学年〜 |
家庭内で「起業ごっこ」のように仕組みを作って遊びながら学ぶ方法については、以前「家庭内起業ごっこの魅力とは?」という記事でも詳しく紹介しています。
あわせて読んでいただくと、実践のイメージがより具体的になるはずです。
今日からできる3つのアクション
難しく考える必要はありません。今日からできる小さな一歩が、お金の教育の第一歩になります。
まず、家にある使わなくなったものを子どもと一緒に3つだけ選んでみてください。
次に、その値段を子ども自身に考えさせ、なぜその金額にしたのか理由を聞いてみましょう。
そして、実際に出品や販売(フリマアプリでも、家族内のお店ごっこでも構いません)をしてみて、売れた・売れなかった結果を一緒に振り返ってください。
この振り返りの時間こそが、最も価値のある学びの瞬間です。
次男が保育園時代のブロック玩具を出品したときは、写真の撮り方ひとつで反応が全く違うことに驚いていました。
最初は暗い部屋で撮った写真を使い、1週間まったく反応がありませんでしたが、明るい場所で撮り直しただけで、その日のうちに問い合わせが入りました。
「見せ方ひとつで売れ行きが変わる」という気づきは、将来どんな仕事に就いても役立つ感覚だと思います。
こうした小さな成功体験の積み重ねが、子どもの自信にもつながっていきます。
関連して、子どもと一緒に読めるお金の本を活用するのもおすすめです。
「お金の知識が身につく本3選」でも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。また、心構えの面では「子育ての秘訣とマネーリテラシー」もあわせてご覧いただくと、教育の全体像がつかみやすくなります。
安全に取り組むための注意点
子どもとメルカリに取り組む際は、いくつか気をつけたいポイントもあります。
まず、出品や発送、購入者とのやり取りは、必ず保護者のアカウントで、保護者が最終確認をしたうえで行うことです。個人情報の取り扱いや金銭のやり取りが発生する以上、子ども任せにはできません。
また、「稼ぐこと」ばかりに意識が向きすぎないよう、売上の一部を家族や誰かのために使う経験(寄付やプレゼントなど)を組み合わせることも、お金の使い道に対する視野を広げるうえで効果的です。
安全と学びのバランスを取るのは、あくまで親の役割です。
まとめ
子どもへの金融教育は、教科書やお小遣い帳だけでは完結しません。
実際に「値段をつける」「売る」「失敗する」という体験を通してこそ、生きたお金の感覚が育っていきます。
我が家では、メルカリという身近なツールを使うことで、無理なく楽しみながらこの体験を重ねることができました。
完璧な仕組みを最初から目指す必要はありません。まずは家にある不要品を1つ、子どもと一緒に手に取るところから始めてみてください。
その小さな一歩が、将来お金と上手に付き合っていく力の土台になります。
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