大体どこも価格なんだったら
どこから買っても一緒だよね。
じゃ、うちのお店に来てもらうためには?
最近は、技術が向上してどの店の品質を価格も大体同じくらいになりました。
例えば、昔あった、とてつもなく美味しくない定食屋やラーメン屋さんなどはなくなり、どこのお店もまずます美味しいです。
少し調べたらお店の味を家でも作ることができるようになりました。価格も似たりよったり。
では、売る側から見たらどうでしょうか。
自分のお店に来てもらうために他のお店と差別化を測らなくてはならなくなりました。
これまでは、「味」や「価格」でしたが、これらでは、もう他のお店との差別化が難しい。
では、何で差別化を図るか。
ヒントは、我が家の恒例行事の「たまねぎ堀り」にありました。
この記事を読めば、「人は何にお金を支払うのか」のヒントがお分かりいただけるかもしれません。
毎年恒例のたまねぎ堀りは中止
近所の農家とJAが毎年主催している「たまねぎ堀り」大会を申し込んでいました。
参加者が収穫した玉ねぎは持ち帰ることができるイベントでした。
我が家でも恒例の行事で子供も楽しみに。
しかし、その年は、新型コロナウイルスの影響で、あいにく、たまねぎ堀りイベントは中止となりました。
事前に担当者の方から「玉ねぎ堀りのイベントは中止になりましたが、当日は、畑で玉ねぎを販売しますが、予約はどうされますか?」と。
「まあ、ちょうどたまねぎもないし、買いに行くか」ということで買いに行くことにしました。
畑に行ってその玉ねぎを購入しました。こちらです(笑)
予約した時間に畑へ行くと、JAの担当者の方が、「申し訳ありませんが、ご連絡したとおり今回はたまねぎ堀り大会は中止なりますので、販売のみとなります」と。
畑では農家の方が玉ねぎを袋詰めしていました。子供たちは少し残念。
そこで、「今回は玉ねぎ堀りがなくなったので、やっぱり今回は少ないんですかね?」と聞いたところ、JAの担当者が、笑いながら一言。
「いいえ。ほとんど定員一杯です。」
イベントが中止になり、玉ねぎの購入だけなのに定員が一杯なのか?
そのヒントは農家の人との雑談の中にありました。
「普通の玉ねぎの販売」がなぜ大盛況?→プロセスエコノミーの重要性
たまねぎを注文して用意してもらっている時間に、農家の人と立ち話をしました。
我が家では、毎年玉ねぎ堀りのイベントを楽しみにしていることを伝えた上で、なぜこういったイベントを始めたのかと質問。
そうすると、農家の方(かなりの人生の先輩の方)はタオルで顔をぬぐいながら答えてくれました。
「子供たちは、完成された綺麗な店頭で並んでいる玉ねぎを玉ねぎだと思って購入しているが、どんなところでどんな風に育って、どういう状態で土の中に埋まっているのか知ってもらいたいし、親子で掘り起こす体験を楽しんでもらうことで、親子での思い出や経験を提供したいな~と思って、それで、この企画をやることにしたんですよ。私たちの収穫の手間も省けるし、普通の値段より少し割高にしてもみんな来てくれるからお金になるし、笑顔も貰えるし一石三鳥ですよ(笑)。農家の戦略ってやつですかね(笑)」
最近は、技術の進歩によって、商品やサービス自体の差(性能やデザインの差)というのは無くなってきたし、価格競争にも限界があります。
今回のたまねぎだって、スーパーやコンビニに並んでいるものに比べて新鮮ではあるけど、普通の玉ねぎです。(→すみません。でも農家の人も言っていたのでご容赦を。)
でも、農家の人は、何の変哲もない玉ねぎに、収穫体験というオプションを掛け合わせて販売してそれが大盛況になっています。
なぜでしょう?
それは、玉ねぎ自体に、参加者それぞれの収穫体験というプロセスが加わり、スーパーやコンビニでは絶対手に入らない、唯一玉ねぎになっているからです。
だから、少々割高でも「玉ねぎ+α」の価値を見出して、みんな購入するだなあと。
そして、購入者側では、単に食事のの材料だけでなく、自分で収穫した体験話や思い出も持ち帰ることができます。
つまり、その価値に対してお金を支払っている。だから、コンビニやスーパーと差別化が図れる。
成果物や最終的なアウトプットそのものだけではなく「プロセス」、つまり何かしらを製作・実行する際の過程自体をビジネスにするということです。
まさに、農家の方は、玉ねぎを売っているだけではなく、そのプロセスも込みで販売していたようです。
「イベントが中止になったのに、なぜ大盛況?」→信用経済の大切さ
通常はイベントが大盛況なのは分かりましたが、今回はそのイベントがなくなっています。
それなのになぜ、たまねぎは売れているのでしょうぁ。
収穫体験が中止になっていますので、プロセスを販売することができません。
それなのに受付には長蛇の列!
そこで、厚かましくその理由を農家の方に聞いたところ、以下のような返答がありました。
「今年は、コロナの関係もあるので、中止にしようかとJAと話していました。そこに「コロナで農家の方も苦しいと思うので、収穫体験はなくてもいいから、せめて玉ねぎだけでも購入させてほしい」という意見が多数寄せられたらしいんです。」
そういえば、行列で並んでいる人は、ほとんどはリピーター。
「昨年の体験のときに、子供に優しく説明してくれて子供を喜ばせてくれた。」
「玉ねぎを使った珍しい料理を教えてくれて両親が喜んでいた」など農家の人に対する感謝の気持ちが参加の理由だそうです。
我が家も昨年の収穫体験では、玉ねぎを1個おまけしてくれて、娘に来年も「また会おうな!なんだったらうちの嫁に来るか?」なんて冗談を言ってくれ可愛がってくれました。
たしかに、今回は、長女のたっての希望で申し込みをしました。
農家の人は、玉ねぎを売りつつ、お金だけではなくて、購入者からの信頼というか信用を受けていたようです。
このコロナの状況で苦しい時には、逆にその信用が功を奏して、玉ねぎを販売していたということになります。
商品やサービスだけでは区別化をする時代が過ぎ、「何を買うか」よりも「誰から買うか」ということが重要視され、その人の信用や信頼で区別化されているといえます。
その中では、いかに顧客からの信用を普段から積み上げているか、信用で区別化するかということが大切だということで、まさにこれからは信用経済になるのではないかと。
つまりお客さんの方からしても「あの人のためにお金を使いたい。」「同じ玉ねぎを買うなら、あの人からにしたい」という思い、「信用の玉ねぎ」を購入したいと思ったのが、大盛況の原因のようです。
帰宅・・・やられた!
親子で勉強なったなあと言いながら帰宅。しかし、物語は、まだ終わっていませんでした。
1袋10個のものを2袋購入したのですが、家に帰って確認すると、なんと!1袋ずつに13個ずつ入っていました。(→画像では分かりにくいですが、この下からまだまだ玉ねぎが!)
代金は、2袋20個分を支払済みでしたので、「個数が多すぎるのではないか?」と担当者に連絡。
すると、笑いながら「ははは、農家の方から「今はお互いコロナの関係でしんどいけど頑張りましょう!という思いを込めて3個増量している」と聞いています」と。
涙目になりながら「農家の人め、また信用を貯めやがった」と思い、来年も必ず参加するぞと思いました。
まとめ
自分のお店に来てもらうために他のお店と差別化をしなければなりません。
ただ、技術の発達により、サービスの質や価格といった「機能」で差別化を図るのは難しい。
目には見えない「想い」や「プロセス」を販売するということを考えるべきです。
また、そのためには信頼や信用を貯める必要があって、そのもとは「応援シロ」ではないかなと、今回の件で気が付きました。
恒例のたまねぎ堀り大会は中止になってしまいましたが、JAの担当者や農家の方から大切なことを親子で学んだような気がします。
そんなことを考えながら、オニオンサラダを美味しくいただきました!!
おまけ
このたび、我が家では、子供へのお金の教育について実践した模様を電子書籍(kindle版)にして出版しました!その書籍がこちらです!
https://www.amazon.co.jp/dp/B09XVHJ5P7/ref=cm_sw_r_tw_dp_7RMX4CK1SNP1KRGC1ZFP
我が家で行った家庭内起業の模様をまとめたものです。お子さんのマネーリテラシーを向上させたい方は必見です。
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今回は、以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。
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